杉本協子税理士事務所

kyoko sugimoto tax accountant office

杉本協子税理士事務所

kyoko sugimoto tax accountant office

消費税貧乏と社会保険貧乏にならないために

1. 消費税貧乏にならないには?

会社が赤字でも消費税は納めないとならない。

決算の時にキャッシュが手元になくて消費税が納められないというケースが発生しています。

法人税は会社の儲けにかかる税金なので会社が儲かっていなければ発生しませんが、消費税は「預り金」なので会社が儲かっていなくても発生します。

決算の時に納める消費税が手元に残っていない「消費税貧乏」になっていませんか?

売上100万円の請求をするときには売上代金100万円に消費税8%を上乗せして108万円で請求書を作成します。

入金された108万円の内訳は売上代金100万円と預かった消費税8万円。

ポイントはこの預かった8万円の消費税です。

仕入や経費の請求には実際の金額に8%上乗せされた請求書が届くはずです。

50万円に8%の消費税を加えた54万円の支払いをした場合の内訳は仕入50万円と支払った消費税の4万円です。

売上で預かった8万円の消費税から仕入で支払った4万円の消費税の差額4万円が手元に残っているはず。というのが理論的な考え方です。

とはいっても、なかなか預かっている消費税を区別していないのが現状です。

預り分の消費税を貯金しておく「消費税貯金」をお勧めしています。

会社の使っていない通帳に毎月、消費税分のお金を移すなど毎月の消費税貯金を心がけてみてはいかがでしょうか?

2. 社会保険貧乏にならないためには?

会社を作ったら社長ひとりでも社会保険に加入しなければなりません。

昔からそうでしたが、以前は入っていない会社も結構ありました。

最近は、社会保険に入っていない会社は現場に入れない、入札に参加できない、日本年金機構(委託業者?)が直接訪ねてくる、などなど社会保険の加入に対しては厳しくなっています。

社長ひとりの会社で社長の報酬40万円と想定した場合の社会保険料は月55,000円位(社長の年齢にもよりますので概算)です。

この55,000円は社長の報酬から天引きする金額で、同額を会社が負担して110,000円を毎月支払うことになります。

この時に、社長の手取りは減りますが今まで支払っていた国民年金と国民健康保険を支払う必要はなくなります。

会社負担分55,000円×12ヶ月の年間66万円は結構キツイです。

社会保険料のことを考えずに個人事業主から会社にしてしまって後悔しているところも見受けられます。

社長の報酬を決めるときに、社会保険料のことも考えて決定する。

会社の利益を減らすために社長の報酬を上げる。これは社会保険料の会社負担分も上げることになるという認識を持つ。

企業型確定拠出年金の加入を検討してみる。

などなど、加入する場合は事前準備が必要です。

社員の方がいる場合は、社員にも年金加入の説明をすることになりますが、会社と社員、それぞれの立場で誤解が生じてしまうこともあります。

会社側は社員の社会保険料を負担している。(負担している分、人件費が高くなっている。)

社員は社会保険料分手取りが少なくなったと不満を持っている。

最初から社会保険加入であればこのような問題は起こりませんが、途中から社会保険に加入するときは社員の方によく説明して納得してもらうことが必要です。

3. 両者の違い

消費税貧乏と社会保険貧乏、どちらも支払うキャッシュが足りなくなるという点では一緒ですが、根本的に違うところは、消費税は預り金なので手元にないということは使い込んでしまったということになります。

社会保険料は、会社で支払う人件費が増えたという認識をもって毎月の資金繰りに社会保険料分も追加するなどして対策してみてください。