杉本協子税理士事務所

kyoko sugimoto tax accountant office

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売上1,000万円を超えた個人事業主は法人化を選択するべきか

1. 売上が1,000万円を超えると何が起こるか?

売上1,000万円を超えたら、「消費税を納めるらしい」とは聞いているけれど、いつ、いくら払えばいいのか、そんな不安をお持ちではありませんか? 初めて売上1,000万円を超えた個人事業主のあなたは2年後から消費税を納めることになります。 いくら納めるかは2年後の売上や経費の金額によって変わってくるので残念ながら今の時点では予測することしかできません。 2017年の確定申告で初めて売上が1,000万円を超えたあなたは2019年から消費税を納めなくてはならないということだけは確かです。 2019年の確定申告の時に消費税の計算も一緒にしなければなりません。 いまは2018年だからまだ先の話だと思いがちですが、2019年が始まって売上や経費を会計システムに入力するときにすでに消費税の計算は始まっています。 あまり先の話ではないのが現実です。

2. 法人化すると消費税を節税できる

2017年の確定申告で初めて売上が1,000万円を超えたあなたが、2018年中に会社を作って法人化したらどうなるでしょうか? 2018年12月25日クリスマスに会社設立。 この場合、個人事業主は会社設立の前日2018年12月24日で廃業したことになります。 2018年1月1日~12月24日までは個人事業主。 2018年12月25日からは会社の社長。 2018年中に廃業しているので2019年は個人事業主として存在していないため、消費税を納めるという話は出てきません。 法人化した場合、初年度は消費税を納めなくていいことになっていますので、個人事業主を継続していれば2019年は消費税の納税義務がありましたが、法人化したおかげで消費税の節税ができた。ということになります。 2018年中に会社を設立して、今後は法人として事業を続けていくあなたは、法人化に向けて決めなくてはならないことがたくさんあります。 事業年度はどうするか、役員報酬の金額、役員は誰にするか、社会保険の加入も視野に入れているか・・・ このようなすべてのことをクリアしているかどうかをもう一度考えてみてください。 個人事業主の時とは違い決算書類も税理士に頼まないとなかなか自分で作成するのは難しいです。 法人化したけれど社会保険料が払えなくて滞納しているなんて会社もあります。 以前に比べて会社設立の登記も簡素化されて資本金の制限もないので誰でも簡単に会社が作れます。 消費税のことだけを考えれば確かに節税になりますが、目先の消費税だけを考えて安易に法人化して後悔している事例もみかけます。 法人化するにはすべてのリスクも考慮して慎重に考えて決断されることをお勧めします。

3. 個人事業主を継続するために必要なこと

売上が1,000万円を超えても法人化するメリットがないと判断して個人事業主を継続する場合は、2018年中に必ずやらなければならないことがあります。 それは消費税の試算です。 ちょっと難しいお話になりますが、消費税の計算方法には二種類あります。 「原則課税」と「簡易課税」の二種類です。 どちらで計算すると消費税を納める金額が安くなるかを試算して「簡易課税」の方が有利となった場合には、2018年中に税務署に届出書を提出しなければなりません。 その届出書の名称は『消費税簡易課税制度選択届出書』といいます。 『消費税簡易課税制度選択届出書』を期日までに提出したから消費税が50万円ですんだ。 『消費税簡易課税制度選択届出書』を期日までに提出するのを忘れてしまったために消費税100万円も納税することになってしまった。 なんてことも実際に起きています。 個人事業主を継続するあなたは忘れずに消費税の試算をしてみてください。

4. まとめ

売上が1,000万円を超えたとき、このまま個人事業主でやっていこうか、法人化しようか迷ったとき、「消費税が節税できる。」たったこれだけで法人化を選択するのはとても危険です。 社会保険料の負担なども考慮して、後悔のない選択をしてください。 法人化してからやっぱり個人に戻す、これほど無駄なことはないですから。